こんにちは。fpくにえだです。
今日のテーマは住宅。
家を買うのは「夢」と言う人がいます。人によっては「家族をもったら当然買うべきもの」と言うかもしれないし「不動産は資産だから」と家の購入を決める人もいます。
一方で家は一般的に他のどんな支出よりもお金がかかることから「人生最大の買い物」と表現されたりもしますね。そのため家を買うことは覚悟を伴うことも多く、できれば買って後悔することは避けたい、と誰もが思うのではないでしょうか。
そうは思っていても、後悔する人は割と多いようです。いろいろなデータが世の中にはありますので一概には言えませんが、6割ほどの人がなんらかの後悔をしている、なんてデータもありました。物件自体の問題や住環境、近隣住民の問題など人それぞれ「思ったのと違う」「こんなはずじゃなかった」と言うポイントは違いますが、後悔しないようにしたいですね。
先日FP4人で飲んだ時のこと。FPになったきっかけをみんなで話していた時に、家を買った時のエピソードをFさんが話してくれたんです。
「夫婦で散歩していた時に、モデルルームの展示会をしていたので覗いたらすごく気に入っちゃって。気づいたら買っちゃってたのよ。あははは」
もう20年も前の話で、住宅ローンの返済がものすごく大変だった、子どもも小さかったけど家計を支えるために仕事を始めることになった、このお陰でお金のことを勉強しなきゃと思って、FPの勉強も始めたのよ」と話してくれました。
お子さんも就職され住宅ローンも返し終わったから懐かしい思い出のように話してくれたFさんですが、購入後しばらくは本当に大変だったことでしょう。Fさんはかなり論理的思考の方ですが、そんな人でも合理的な判断ではなく、勢いで家を買っちゃうんだ、と思って驚いたものです。
みんな落ち着いて考えると「すごいことだ」と感じるはずです。
「中古の賃貸に住んでて、家の近くで新築モデルルームの見学をやっていたから見たらすごく良くて、住宅ローンの支払額もなんとか払えそうだったからもうご縁だと思って即決したんです」って言われたら「ああ、そう言うこともあるんだ、大きな買い物は確かに勢いも大事だな」なんて思っちゃうかもしれません。でも私にはこんな感じに聞こえます。
「普段行くスーパーの隣に高級スーパーができたのよ。今なら開店キャンペーンで毎月5万円出せば高級ブランド牛のステーキを家に届けてくれるサービスがあるって。もうご縁だと思って35年間の利用契約しちゃった。いつもは豚肉と鳥肉しか買わないけどそろそろ美味しい牛肉も食べたいなって」
ちょっと強引ですが(笑)、イメージ伝わりますでしょうか。
また、先日相談に来られた方は「すごくいい物件に出会って買いたいなと思っていたら、営業さんから人気があるので3日以内に買うかどうか決めてください、と言われ、逃したら大変と思い契約した。営業さんもいい人だったので心配はしていないが、念のため買っても大丈夫だったのか専門家の意見が聞きたい」というものでした。
せめて決断する前に聞いてくれたら、と思わずにいられませんでしたが、あとでちょっと不安になり、「判断は間違っていなかった」と安心させてほしい気持ちも分かります。
特に住宅ローンを組んで家の購入を考えている人に知っておいて欲しいことが3つあります。
1. 買うのは一瞬だが、何十年も将来に渡ってお金を払い続ける買い物である
2. 掘出し物はないので焦らなくていい(高い、安いには相応の理由がある)
3. 客観的に自分を見る
1については、リスクの話にも関わりますが「持ち家と賃貸論争」ですね。賃貸よりは支払う金額は少なくて済む、ローン完済すれば自分の資産になる、そういったメリットがありますが、賃貸だから得られるメリットを手放すことにもなります。生活面、今後のリスク面などを考慮し判断する必要がありますが、勢いで買おうとしている人は、「今の生活」と「家を買った後の生活」の違いを多面的に比較できていないかもしれません。
2については、経済的な背景や需給を考慮して新築にしろ中古にしろ価格が決まっているため、コスパ的にはどれも変わらないと思っていいと思います。物件は諸条件が1つとして同じものがないので比較が難しいので「こんないいものにはもう出会えないかも」と思いがちですが、同じようなコスパの物件にはすぐに出会える、と思うぐらいがいいと思います。
3については、データを見たり、「この物件、すごく人気があるみたいなんだけどどう思う?」と詳しい友達に聞いてみるのもいいでしょう。
例えば、こんなデータがあります。住宅ストック数(日本にある既存物件の戸数)と世帯数を比較したものです。
(注)世帯数には、親の家に同居する子供世帯等(2013年=35万世帯)を含む 出典:総務省「住宅・土地統計調査」
国土交通省の資料(出典は総務省)ですが、1973年以降、日本では世帯数より家の数の方が多いんですよ。
あなたにとって「いい家」が余っている可能性、ありそうじゃないですか?
また、こんなデータもあります。住宅ストックがいまどういう状況なのかを表したものです。
出典:総務省「平成25年住宅土地・統計調査」(※住宅ストック総数、空き家数についても平成25年時点の数値)
現存する戸建てやマンションのうち、耐震面などに不安があって建て替えが必要なのが1500万戸、空き家が850万戸あります。
これらが今後魅力的な物件に変わる可能性もある、とも考えられます。
いずれにせよ、人の移動もありますし、いい物件に出会えるチャンスはまだまだあります。自分のタイミングで、納得のいく形で住宅購入したいですね。
最後になりますが、家を買うという行為は、ちょっと穿った見方をすれば
「自分よりはるかに家に詳しく、今、これを買って欲しいと思っている営業さん」を相手に勝負をしている、ということもできるでしょう。
信用できる、いい人に出会えるといいのですが、常に笑顔で話しやすい人のことを「いい人」と考えてしまうのが我々人の性。誠実に、あなたの身になって考えてくれている人、ウソや隠していることがない人、あなたの本当の味方が「いい人」です。
相手の人が本当に「いい人」だと見極められる程度に、家に関する知識を持っておいて損はないと思います。
住宅購入で後悔しないために、今からちょっとずつ一緒に学んでいきましょう。